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世界超恐慌の正体(長文注意) [本]


世界超恐慌の正体【コーポラティズム vs  国民国家の最終戦争】 (晋遊舎新書 S08)

世界超恐慌の正体【コーポラティズム vs 国民国家の最終戦争】 (晋遊舎新書 S08)

  • 作者: 安部 芳裕
  • 出版社/メーカー: 晋遊舎
  • 発売日: 2012/09/15
  • メディア: 新書



恐ろしく扇情的なタイトルですが
貨幣経済の本質
信用創造で膨れ上がる実体を伴わない金融資産
そして、世界の景況は操作可能であるという実例を列挙した
読みやすくわかりやすい
現代の金融資本主義の危うさについて書かれた本でした。
但しこの本、
事実を切り貼りして都合の悪いところを端折ってるところが
あちこちにあるので、気になるところは
きちんと調べて裏取っておいた方が良いかもしれません。

<閑話>
植民地経営や銀行業務はイエズス会もやってたよネー。
というか、植民地収奪とキリスト教の殴り込み布教はセット販売で
イエズス会の坊主は実質的にはスパイだった。
幕末期の長州ファイブのイギリス留学は
天正少年使節団のローマ留学に重なって見えます。
まあ、そっちはキリスト教の禁教令と鎖国で頓挫したけど、
プロテスタント&ユダヤ金融資本連合は
カトリックの強欲布教のやり方に倣っているだけっていう見方もできますよ?

<閑話休題>
さて、怖いことに
この本に書かれていることは現在進行形で動いています。
今も昔も軍需産業はお金になるってことはわかってたけどさぁ
戦争って借金してまでやるものか?

しかも、お金貸す組織と武器売る組織は本質的に
同一の基盤の上に立ってる、同一人物。
えげつないことこの上ありません。
借金した相手にお金払って武器買って
その一方で借金返し続けるなんて滑稽すぎるよー。
文字通り、マッチポンプです。

<閑話>
ああ、日本国内にも昔そういうのいたな…確か境衆とかいう人たち

<閑話休題>
英「同盟国のよしみだ。ロシアと戦争するときには
お金も貸してあげるし、軍艦だって用意してあげるよ!」
米「うちもお金貸してあげるよー。やったれやったれ」

日本、日露戦争に勝利するもそれに見合うだけの権益を得ず。
残ったのは借金の山!
なんとか満州鉄道の敷設と運営はできたけど
そこにエドワード・ハリマンという
「マクドナルド商法」
〜競合他社が潰れるまで自社は安売りして他社を潰す。
 他社が潰れたら二束三文で買いたたいた後、一斉値上げして
 消費者から搾り取れるだけ搾り取る鬼経営をする
の元祖みたいなことをする人が

「共同経営しようよ。もちろん、お金は貸すよ」とか持ちかけて、協定を結んだそうな。
(ハリマン氏は日露戦争のときの対日本債権者の一人)
が、小村寿太郎が怒ってその協定破棄させたので満鉄は乗っ取られずにすんだとか。

…マクドナルドの場合には
値上げされてももっと手頃な値段で食事できる他店に行けばいいだけだけど
鉄道で同じことやられたらどうにもならんよね…。
小村が怒るのも無理ない。
だけどねー。
小村がモルガン商会(こっちも極悪金融鉄道屋)の意を受けて
ハリマンとの協定を破棄させたという経緯もあったようで、
なにが良くてなにが悪いかよくわからないぞ、と。

そんなこんなで、日本は赤字ぴーぴー。
そして日本の燃料備蓄があと二年分になった頃のこと

米「我が国の国民は何人たりとも戦場に赴くことはない(キリッ)」

日「借金の取り立て厳しい。てゆーか、年収の○倍の借金なんて返せないよ。
もう大陸に進出しなきゃどうにもならないよ」

英「日本がお金返してくれないんだよねー。
ドイツとの戦争もなかなか終わらないし、アメリカ君なんとかしてくれない?」

そこでアメリカはドイツの艦船に軍事的圧力をかけて
ドイツから攻撃してくんないかな作戦を展開する。
でもドイツは挑発に乗らなかった。
この本には載ってないけど、
アメリカにはナチスのお財布になってくれてる資本家がいたから。
ブッシュさん家です。ドイツ相手に武器も供給していました。

米「そーだなー。日本がこっちに仕掛けてくれれば、
日本とドイツが同盟してるから、ドイツに宣戦布告できるんだよねー」

米「日本の空母は10隻。うちは7隻。ちょっと分が悪い。
でも2年あったら(日本の備蓄が尽きる頃には)うちは100隻ぐらい作れるか。
いっちょやったるわ。蘭さん、日本への資源供給止めて」

蘭「あいよー」←インドネシア〜インドシナ界隈の宗主国様だし

以下略

この本には書かれていませんが、
日露戦争の借金を日本政府が返済し終えたの、
昭和61年のことだっていうからなー。
恐ろしい…。
http://matome.naver.jp/odai/2136214578373977801

そして今も戦争をなくす気なんか更々ない国が
国連の常任理事国だもん。
今もウクライナでお金と武器のやり取りが続いてます。
不毛すぎですね。

読んで損はなかった。
でも、どうすれば1ミリぐらいでもマシな世界になるのか
正直わかりません。
残念なことに、
小村寿太郎も高橋是清も今の日本にはいないからねぇ。