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クリフトン年代記〜追風に帆を上げよ [本]


追風に帆を上げよ(上): クリフトン年代記 第4部 (新潮文庫)

追風に帆を上げよ(上): クリフトン年代記 第4部 (新潮文庫)

  • 作者: ジェフリー アーチャー
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2015/03/28
  • メディア: 文庫




追風に帆を上げよ(下): クリフトン年代記 第4部 (新潮文庫)

追風に帆を上げよ(下): クリフトン年代記 第4部 (新潮文庫)

  • 作者: ジェフリー アーチャー
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2015/03/28
  • メディア: 文庫



第三部で生死が不明になった人物がどうなったかが明らかにされる一方
バリントン家やクリフトン家に対する
マルティネスの報復は苛烈を極めていきます。

さて、昔のアーチャーなら
お金の恨みはお金で、
名誉の恨みは名誉で取り返すのがセオリーで
命のやり取りは戦場のような場所に限られることが多かったんですが
今作では情け容赦なく血の雨が降ってます。

恐ろしい事に、復讐の鬼と化したマルティネスは
ブチ切れてても頭は冴えてて状況判断が正確。
アルティメットインテリヤクザ とでも言えばいいんでしょうか。
荒事から仕手戦までやってのけるんで、
普通の神経してたらこういう手合いとは戦う気にはなれないだろうなあ
と思います。

バリントン&クリフトン陣営のマルティネスに対する攻撃も
政府筋が支援していることもあって
半ばスパイ戦のような様相を呈していますが
それを力でどっかんどっかん引っくり返してくるから性質が悪い。

下巻も後味の悪い結末、というか次への引きが強い終わり方になっています。
手に汗握ってください。
あ、そうだ。
上巻には日本人にとっては
ちょっとしたお楽しみ?になるエピソードがあるかもしれないですね。
アーチャーはあの会社、好きなのかなあ。
にしても、
商船のブリッジを艦橋と訳すのはどうなんでしょう、
戸田提督。

上巻では、
クリフトン家に協力を惜しまない人物が新たに登場します。
それはいいんだけど、
その彼を本気にさせるために
それまで舞台の中央に立つ事がなかった人物が犠牲に供されるという展開になってて
なんというか、あまり読後感がよろしくありません。
その人物が亡くなる展開はデジャヴですね。
『チェルシーテラスへの道』あたりに似たような展開がありました。

ネタとして仕込んであったのは
ユダヤ人ネタと殺人ネタの二つでしたが
さすがに人種差別ネタは今日日使いにくかったのか
殺人ネタの方を選んだっぽい。